繁華街の音


ロンドンは人が予想外に多い割にはどこの街も落ちついた雰囲気だ。ところどころでユーフォニュームを吹いていたり鳥笛をならして小銭を稼いでいる人もいる。そのような音はよく通って石づくりの建物の街路にきれいに響く。だが、喧騒なスピーカーからの音は皆無に等しい。これだよな、(日本の繁華街に)欲しいのは。

仙台の繁華街を歩くとおもわず耳を塞いで、「うるさーい!」と怒鳴りたくなる。(仙台では20年以上も前から地元の商店街の有線放送が街中にこだましている。あるときなんか高校野球の実況中継まで流していた。サービスのつもりなのか。客をそそくさと帰らせるためなのか。)怒鳴ったところで何の解決にもならないから急ぎ足で逃げるように繁華街を後にする。

先日仙台南部の地下鉄の駅前に西武系の東北トップクラスのショッピングモールがオープンしてその中の書店に行ってきた。唖然とした、というより気分が悪くなった。なんと地下鉄からの連絡通路からはじまって書店の中まで、すべて高々と西武ライオンズの応援歌が流れている。BGMというより無理矢理聞かされるという状況だった。拷問に等しかった。これは人権侵害とはいえないのか。

昭和64年1月7日、昭和天皇が崩御された日。仙台の商店街も喪に服し、当然有線放送もストップした。束の間の(本来の)落ち着いた街になった。だが、スピーカーの音が街中に響き渡らない街は沈滞した好ましくないものと商店街の主人達は判断したようだ。やがてまた20年前と同じ、店のテーマソングを流し続けることになった。その後揚げ句の果て、ゲーム音楽並みの電子音で騒々しく時を告げる電気仕掛けの時計を各所に設置した。これが「活性化」なのだそうだ。