オンラインソフトと付き合いはじめた当初から一貫してほぼ毎日使いつづけているソフトウェアがある。WEMOだ。WEMO自体は97年にアップロードされているが、その前身にPEMOとJEMOがある。PEMOは98DOS用。私は約10年前PEMOを手にした。
その後、ノートパソコンを購入する段階で、当時もっともキーボードの出来が良かったのが東芝のJ3100-SX。幸いなことにJEMOが使える。キーボードが良くてJEMOが使えればOKだった。逆にこのどちらかが満たされなければ、私にとってパソコンの価値は半減する。結局J3100でソフトに出費(わずか一日の通勤費と昼食代程度)したのはJEMOだけ。ワープロソフトさえインストールせずにJ3100は役目を終えた。
Windows3.1が普及した頃、私はやむを得ないときだけWindows3.1のアプリケーションを使っていた。普段は98DOSでPEMOだった。
そしてWindows95用のWEMOが出た。ああ、これでやっとWindowsベースに移行できる!
もちろん今では毎日WEMOではじまり、WEMOで終わる。
WEMOは現在NifyserveのFGALAP,LIB4,#422に密かに置かれている。決して人気ソフトにランキングされるような派手なものではない。
うーん、一言でいうのは極めて難しい。作者は個人用データベースと呼んでいるが、おそらくアイディアプロセッサあるいはにアウトラインプロセッサとしておいたほうが一般にはわかりやすいのではないか。
この手のソフトウェアは数は多くないものの、たとえばWindows95ではIdeaTreeなどがよく使われている。
ただWEMOはそれらに良く似てはいるものの、設計思想が違うようだ。
へたにアプリケーションぶっていない。要はシンプルなのだ。こんな用途に使えるぞ、だからこのソフトを使いましょうという押しつけがましさが全然ない。だからこそ長く必須のツールとして使えるのだろう。
いやぁ、でも他のアイディアプロセッサなどを使ったことがない人に紹介するには、やはり何に使えるのかを具体的に披露したほうがいいだろう。それも作者が、ではなくて、私のようなユーザが!
私はTodo.pjwというファイルをWindowsのショートカットに登録して一発起動できるようにしてある。(拡張子は任意に付けられる。pemo,jemo,wemoの略)
このWEMOファイルを開けると、前回終了時の画面が出てくる。画面例
まず開くのは「今週の予定」のカード
そこにはとりあえず思いついたto doアクションを書いていく。
なにかのアクションについて付加するメモ書きが増えたらチョチョッとキーを押して新たなカードとして独立させる。
重要なものについては●印などをつけておけば事足りる。
いわゆるアウトラインプロセッサとしての使い方。ある程度できたらテキストファイルに出力してワープロで仕上げればよい。
体調に関するもの、ソフト開発に関する日誌、ユーザサポートに関する記録などカテゴリーごとに分けている。ぜんぶ一つのwemoファイルの中で。日付の入力はT.Clipを使えばよい。わざわざ日記ソフトを使う必要はない。
実は今もWEMO上で書いている。階層化できるので全体がよくわかる。ある程度煮詰まったらHTMLエディタで仕上げればよい。(もっとも自作のperlスクリプトで定型的なページは半自動で作成するが)
1行めがタイトルとしてツリー表示に使われるので、ログファイルをちょっと加工すればWEMO上で階層を付けてまとめなおすことができる。
バッチやperlなどのスクリプトをwemoで管理。一般にこの手のスクリプトについては開発環境が充分でない。モジュールや変数定義などをカード化しておくと過去のスクリプトの再利用が楽になる。
DOS時代、プログラム開発環境でうまく階層構造をつかってソースファイルをつくれるものがなかった。アプリケーション全体の記述と階層(関数、モジュール化)の大枠をPEMO(当時はまだPEMO)
で行って、後で一括してテキスト出力。このテキストの各行をコメント用の/* */をで挟んで、Cソース用エディタへ。コメントを見ながらコードを書いていった。
既成の文献管理ソフトは、それこそかなりの数の資料が集まってくると有効になる。数がないうちはかえって使いづらい。(データベースとしての威力が発揮できず)
その点WEMOを使えば気楽にメモをためておける。一冊1カード。
私の場合各カードの先頭行からタイトル、著者、発行所、価格と1行ごとに書くようにし、5行目いこうは全く自由にメモや気づいたことを書いていくようにした。冒頭の数行だけ規定したのは後にデータベースに移行するときのことを考えてのこと。
実際に数百冊分の図書メモが溜まった。このくらいになるとWEMOの検索スピードにちょっと不満を感じるようになった。現在はカード型データベースに移している。でもやはりWEMOの気軽さには未練を感じる。
論文・学会発表などの記録(単なるメモ)。年度ごとに階層化して整理。
住所録データベースに入れるほどのことはないような電話番号のメモ(歯医者の予約用など)をwemoで作成。カテゴリーに分類(PEMO,JEMOではファミリー内の並べ替えができた。DOS窓でPEMOを使えばOK!さらにPEMOではモデムにダイアルコマンドを送ることができたので実に軽快な電話帳として利用していた。WEMOでは残念ながら不可。)
年に一度程度テキストファイルにして縮小印刷し、システム手帳に貼付けている。
電子メールの新聞などで紹介されるURLをwemo上でカード化して保存。残念ながらWEMOではまだクリッカブルURLに対応していないので、現在では単なる備忘録的なメモをWEMOで行い、本格的にはWhitePageを使用している。
私にとってWEMOはOSのような基本ソフトである。
WEMOがパソコン上での思考の入り口であり、整理する場にもなっている。付箋紙代わりにもなっている。WEMOにクリッカブルURLとショートカット起動の機能が付加されたらWindowsのアクティブデスクトップなんてくそ食らえ!という環境になるだろう。
WEMOは押しつけがましくない。作者もそのような性格のようだ。だから、逆に、私自身もはじめてPEMO(当時はPEMO)を手にしたとき、いったいこれは何に使えるのか?と見当がつかなかった。でもこの押しつけがましさがないという環境でこそ、さまざまな創造ができるのではないだろうか?