ベスブ石(Vesuvianite)
Ca10(Mg, Fe)2Al4(SiO4)5(Si2O7)2(OH)4
神奈川県白石沢
ここのスカルン鉱物は神奈川県の天然記念物に指定されているため採集はできません。一応念のため。
褐色の結晶がベスブ石で透輝石、方解石を伴う。結晶の形が柱面を持たないために算盤の珠のような形をしているのがわかる。
近年ここのベスブ石やそれに伴って見つかった高温スカルンのプロンビエル石、あるいは「いぼ石」の名前で知られた菫青石などがショップで売られるようになっている。昔はたくさんの人が入って採集しただけに、そういう方々からの放出品なのかもしれない。まぁ、手にはいるのは嬉しいので、気に入れば購入するが。
何年か前にここを見に行ったことがあった。ちょうどイワシャジンがたくさん咲いている頃で、山道をゆっくり登りながら河原伝いを歩いていくと、急に開けた場所に出て、大きな堰堤工事をしていた。その脇には二抱えもある巨大なスカルン塊が無造作に放置されていて、もしかしたら堰堤の材料にされてしまっているんじゃないかと心配になった。そこから急な山道になるのだが、道脇には「今までそこにいました」って言う感じのツキノワグマの跡がたくさんあって、それ以上行くのは危険だからと言うことで引き返してしまった。暖冬のせいで熊は冬眠をしないような感じだし。
それにしても、巨大な堰堤工事はなんのためにしているのかいつ見ても不自然でならない。山を崩さないようにするためならむしろ広葉樹の植林にした方が安上がりだし、メンテナンスにもほとんどお金がかからない。将来的に見ても山がしっかり安定してくれる。それに水源の確保にも繋がるわけで。わざわざ高いお金を払って、数年で埋まってしまう砂防ダムを数10m間隔で城壁のように造っていくのもなぁ。かえって破壊しているようなもんだ。
丹沢では1972年の集中豪雨(下流の酒匂川が濁流でいっぱいになっていたのを鮮明に覚えている、その後しばらくマムシが流されてきたとかで川へ行かないように脅された、わたし小学校に入る前だったし)で崩れた沢の跡に、何年もかけてできた自然の灌木林を全部切り払ってオートキャンプ場にしてしまったところもある。
行政のすることは無駄が多く、そして配慮に欠ける。やっぱり繋がっているんだろうか…ねぇ…

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