ベスブ石(Vesuvianite)
Ca10(Mg, Fe)2Al4(SiO4)5(Si2O7)2(OH)4
長野県甲武信鉱山
標本の横幅は8cmでほぼ全体がベスブ石。
スカルン鉱物の代表の一つである。スカルンは接触交代鉱床のうち石灰岩とマグマが接触して大理石などを生成する際に、互いの成分を交換するような化学反応が起こり、一部の金属を濃集させて様々な金属鉱物を作り出し、残りの成分でカルシウムを含む多様な珪酸塩鉱物などを作り出す過程を経てできた岩石で、主な鉱物はグロッシュラー、透輝石、方解石である。ベスブ石もスカルンのうちでは比較的普通に産出する。立派な結晶標本は意外と少なく、たいていは塊状になっている。
甲武信(こぶし)鉱山は立派な結晶をたくさん産したところで有名だが、山を挟んだ反対側にも抜けている。こちらは梓山と呼んでいるが、水晶の日本式双晶を産したことなどで有名になり、2000m近い山奥なのにたくさんの人が訪問したためについには立ち入り禁止となってしまった。甲武信鉱山も立ち入りには事前に許可(っていうか旅館の利用?)が必要である。
ここは距離的には家から日帰りが可能なのではあるが、到着してからの山行に時間がかかるため事実上日帰りができない。そのためにやむなく購入した標本。ただ、見ての通り立派な結晶が付いているし、裏側にも細かいものがたくさん付いていて、海外産に比べても見劣りがしない点が気に入っている。
他には埼玉県秩父鉱山、神奈川県白石沢、大分県木浦鉱山など、いずれも代表的なスカルン鉱床の産地が有名である。

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