硫黄 (Sulfur)
S
Sicilia Cianciana Mine イタリア
前のが昇華結晶と骸晶の組み合わせの例だったのに対し、こちらのはちゃんとした結晶の硫黄である。
理科の実験で、硫黄の結晶を作るものがあるが、最近は行われていないのか、理科室から硫黄臭いにおいが辺りに発散されることはほとんど無いみたいだ。
試験管に硫黄を入れてバーナーで溶かし、それを濾紙の入れ物の中に流し込んで、熱いうちに入れ物を開くと針状の結晶が一瞬にたくさんできる。これは単斜硫黄の結晶で、硫黄の結晶が安定していられる温度の違いによって、一般に見られる硫黄はS8硫黄で、これにはα、β、γの3つのタイプがあり、それぞれα硫黄(斜方硫黄)融点112.8℃、比重2.07、淡黄色斜方晶。β硫黄(単斜硫黄)融点119.6℃、比重1.96、淡黄色単斜晶。γ硫黄(単斜硫黄)融点106.8℃、比重1.955、淡黄針状晶。という特徴を持っている。
この標本の結晶はそのいずれにも似ていない。これは結晶が成長するのにかかる時間に関係していて、比較的ゆっくりと結晶が成長する条件ではこのような大きな、ちょうどビア樽のような結晶を作る。
もう一つ理科室から無くなった実験は鉄と硫黄を化合させて硫化鉄を作るというもの。これもすさまじい硫黄臭を発散するが、化合による物質の変化を知る上ではいい実験だと思う。のどが痛くなるが…。

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