杉石(スジライト) (Sugilite)
(K,Na)(Na,H2O)2(Fe3+,Ca,Na,Ti,Fe,Mn)2(Al,Fe3+)Li2Si12O30
愛媛県岩城島
原産地標本である。
よく紹介されているのは南アフリカ産のマンガンを含んで赤紫色をした塊状であったり細かい結晶が付いているものであったりするが、それを意識するとこの標本のどの鉱物が杉石なのかがわからなくなってしまう。
写真では一見花崗岩のように見えてしまうが、これはエジリン閃長岩で、この中に目立つ淡黄緑色の鉱物が杉石である。これに紫外線を当てると種山石が見つかるそうだ(まだ試してない)。
この鉱物に最初に気がついたのは九州大学の杉健一教授と久綱正典助手で、1942年~1943年に久綱が現地調査をし、ユージアル石様鉱物として発表した。
旧ページの方では南アフリカ産の杉石を載せてあるが、それをネットで公開した当時はまだ久綱氏の名前を杉石の所に紹介したページがなかったらしく、その後しばらくして息子さんという方からメールをいただいた。関西大震災に遭われてしまって父が残した多くの標本を失ってしまったと言うことだった。わたしは現在日本で一番危険な活断層と言われている国府津-松田断層がすぐそこ、と言うところに住んでいるので心しておきたいと思う。

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