銀(自然銀) (Silver)
Ag
Mina San Martin, Sombrerete, メキシコ
いわゆる”ひも銀”というもの。母岩にあたる鉱物は斑銅鉱で、その表面に鉋屑のような形をした銀ができている。
銀は錆びやすくすぐに黒色に変色してしまうので保存には注意が必要。特に硫黄の標本と同じ入れ物には入れない。
銀そのものの産出量は国内でもかなりあった。7世紀に現在の長崎県で発見されて以来各地で銀山が開発されていくが、室町時代には装飾品として多く使われるようになり、その後アマルガム法がポルトガルから伝わると産出量は飛躍的に増えていくことになった。17世紀前半には日本国内の産出量が世界の産出量の3分の1にあたるというから、石見銀山が世界遺産へ登録されたのも何となく頷ける。もっとも銀は西日本の方に産出が多く、東日本の方は伊豆や佐渡に代表される金の方の産出が多かった。
鉱石の多くは硫化鉱物の輝銀鉱と針銀鉱で(いわゆる銀黒)、自然銀の産地も多かったがだいたい江戸時代に採掘され、多くはヨーロッパ方面へと流出していくことになる。昭和に入って黒鉱が利用されるようになると、黒鉱に含まれている銀を回収していくようになる。現在銀を目的に稼行している鉱山は2006年3月31日に閉山された札幌の豊羽鉱山をもって無くなってしまい、金を目的にしている鹿児島の菱刈金山が唯一の産出元になってしまった。

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