蛇紋石 (Serpentine)
(Mg,Fe)3Si2O5(OH)4
愛知県吉川鉱山
実家を建て直してしばらく経ってから母が「鮫の歯石がなくなってしまった」と言ってきた。これはわたしが住んでいる方に持ってきたので今わたしの手元にあるが、どうやら母のお気に入りだったようだ。
蛇紋石はいわゆる超塩塩基性の橄欖岩などが地表に出る課程で風化して作られるという説が有力。和名はラテン名をそのまま和訳したもので見た感じ蛇の鱗に現れる模様をそのまま表している。
超塩基性岩はマントル上部から圧力の変化の関係で地表近くに上昇してくると考えられ、地下深いところに溜まったものが断層活動によって地上まで運ばれてくる関係で、大きな断層があるところに蛇紋岩地帯がある。従って糸魚川−静岡構造線などの大きな断層沿いには蛇紋岩地帯が帯状に点在して広がっている。吉川鉱山一帯は大きな蛇紋岩地帯となっていて、これは中央構造線によって地表までもたらされたもの。
マグネシウムを多量に含んでいて、普通の植物が生えないため、蛇紋岩地帯では特殊な植生が見られることもある。岩手県の早池峰山などは有名。
柔らかい岩石なのできれいな色調のものは磨かれて研磨され表札などに利用されている。
これは3種類の鉱物(アンチゴライト・クリソタイル・リザーダイト)のグループ名で、肉眼でも区別はできない。同じ産地ではそれぞれ固有の姿形をしていることもあり、それによってどれかを判定することもあるが、資料によれば吉川鉱山のこの標本ではリザーダイトかアンチゴライトのどちらかになる(ここのクリソタイルは繊維状結晶として産する)。
表面が非常になめらかですべすべしていて、手に持つと蝋燭を手にしたような感じで手にすべすべ感がつく。
黒く見えている部分は細かい磁鉄鉱の集合で、磁石につく。

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