バラ輝石(ロードナイト) (Rhodonite)
(Mn,Ca)5SiO16
愛知県田口鉱山
田口鉱山はパイロクスマンガン石の世界的な産地だった。現在ではごく小さい結晶がたまに見いだせるくらいであるが、鉱山が稼働していた当時は多くの良品を産したそうだ。
そのパイロクスマンガン石とほぼ同じ化学組成であるバラ輝石はまだたくさん残されていて、ズリの一部を鮮やかな赤紫色に染めている。と言っても表面は酸化され真っ黒になっているので、最近割られた物が目に付くと言うことだが。
ここは堆積型のマンガン鉱床が深成岩を作ったマグマによって接触変性を受けた物で、多種類のマンガンを含む珪酸塩鉱物を見ることができる。バラ輝石はその代表である。写真の標本は結晶が比較的荒い物であるが、ここでは細かい結晶の固まりでいわゆる「紅翡翠」と呼ばれる物もある。
最近ショップの中で、どうもこのバラ輝石の方をパイロクスマンガン石として売っているのを目にするので、ちょっと気になっている。両者の違いは写真などで確認してもらえるといい。と言っても田口鉱山のものだけの話になる。
また深成岩ができたときに形成されたペグマタイトも見られる。

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