菱マンガン鉱(ロードクロサイト) (Rhodochrosite)
MnCO3
静岡県河津鉱山
菱マンガン鉱は方解石と同じグループの鉱物である。マンガンの鉱石としては重要な鉱物の一つで、かつては炭マンと呼ばれた。
河津鉱山のもう一つの顔はマンガンを多産したことである。ズリで表面が真っ黒になっている石を割ると鮮やかなピンク色の鉱物が現れることがあり、大抵はこの菱マンガン鉱であるが、バラ輝石や、イネス石のこともある。これは硬くてなかなか割れないが、割れて出てくる新鮮な面の鮮やかな色には目を奪われるようだ。菱マンガン鉱はこの中では一番薄い色で、どことなく肌色っぽいところもある。
右側の写真の横幅は1cm。やっと何とか形がわかる写真になった。結晶云々を除けば、この標本はほぼ全体が菱マンガン鉱であり、一部に石英が脈状に入っている。
先に水晶ができ、その上に菱マンガン鉱ができた順番で、綺麗なピンク色をしている。水晶と光の反射具合が若干異なっているためにかえって存在感がある。結晶内部から発光しているように見えるのも面白い。
実際に標本を手にとってルーペで見てもだいたい左側の結晶のサイズぐらいでしかないので、これだけ拡大できれば十分かもしれないが、欲を言えばもうちょっとピントがあってくれるとなぁ…。
河津鉱山へはよく通って採集したが、菱マンガン鉱は塊状の物ばかりあり、なかなか結晶を見つけることができなかった。ただ、塊の中に隙間があるとその部分だけ紅色(イネス石のような紫色っぽいのとは違い、赤に近い感じ)に見え、細かい結晶がびっしりと入っていることもあった。

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