水晶(石英) (Quartz)
SiO2
Novo Horizonte Bahia, ブラジル
いわゆるルチル入り水晶で、Rutilated Quartzと呼ばれている。
ルチルにあたるものは水晶中にある金色の針状結晶で、細かい水晶を含めてこの標本にあるほぼすべての水晶にルチルが入っている。
先にルチルが晶出し、後から水晶がルチルを取り込むようにして成長したことがわかるが、謎が一つ残る。水晶以外のところにはルチルが存在しない理由である。山梨県竹森の電気石が入った水晶では母岩にも電気石があるので気にはならないが、こちらはルチルが宙に浮いている形になっている。
仮説としては水晶ができた段階で晶洞中にあった液体の性質が変わって(たとえば強い酸性を示すようなものになったとか)外にあったルチルを溶かしてしまったというもの。そういう液体が存在するかどうかは疑問だが、少し条件を変えれば水晶まで溶けてなくなってしまう可能性が高い。
もう一つは人為的に外にあったルチルを溶かしてしまったというもの。こちらの方は技術的にずっと可能になるが、そうすることにあまり意義を感じない。ということで、自然の妙と結論づけたいがいかがだろう。

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