逸見石 (Henmilite)
Ca2Cu(OH4)[B(OH)42
岡山県布賀
国内で発見された鉱物のうちもっとも美しいものの一つ。菱餅のような結晶が多数ついている。
これを購入した年はどうも当たり年だったらしく、前の年の暮れに標本市でこれよりももっと小さい標本についている値段を見て指をくわえて眺めているだけだっただけに、これはそれよりもずっと安価で、尚かつずっと大きい標本だったから一番良いものを迷わず購入した。家(神奈川)から布賀まで行く片道の旅費よりも安いのは十分リーズナブルだと思う。本音を言えば時間をゆっくりかけて採集に行きたいところなのだが。
さらに後日談が。実はたくさん出過ぎてしまったという。市場に大量に出され値段も下がったが、その時点で既に多くの人が購入してしまっていたと。ショップで展示しても売れ残るようになるのでフェアには出品しないと。まぁ次に出てくるのはまた世代が変わった頃になるのだろうか。
逸見石については日本の新鉱物1934-2000(松原 聡 監修、 宮島 宏 著 フォッサマグナミュージアム発行)にカラー写真入りで詳しい解説が付いている。それによれば、1992年の報告では、ゲーレン石・スパー石スカルンと結晶質石灰岩の境界部に発達する方解石脈中の晶洞に黒銅鉱・方蒼鉛石に伴って最大3ミリに達する厚板上自形結晶として産するとなっている。
もろい鉱物だけに取り扱いは注意が必要。
鉱物名は布賀の鉱物の研究をされた岡山大学の鉱物学者逸見吉之助とその次女で同じく岡山大学の鉱物学者逸見千代子にちなんでいる。

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