蛍石(フローライト) (Fluorite)
CaF
Weardale. Durham イングランド
これはなぜか女性に人気がある。ショップで手持ちのかごの中に蛍石ばかり入れているのは男性ではまずいない。
いろいろな色の蛍石があるから蛍石だけのコレクションもあるのだろう。
蛍石の色はガンマ線による結晶構造の一部崩壊に起因することがわかっている。これをカラーセンターといい、結晶が本来遷移金属イオンによって色を示す部分に、崩壊によって生じたイオンのバランスを保つために埋められたイオンがちょうど金属イオンのような働きで光の選択吸収を行い着色の原因になる。
蛍石といえば、名前のように、蛍光を発することで有名ではあるが、紫外線を当てて発光する蛍石はその中のごく一部である。
この標本はイングランドの有名産地の物で、太陽光下でも蛍光するという蛍光性の強いもの。
ここは一度閉山したが、標本採集のために再び開いたという。蛍石は工業的に合成することができるので、製鉄などにはもっぱら合成品を利用し、天然で結晶のあるものは鉱物趣味の方にまわってくると、いささか健全な方向に進んでいるような気がする。
ちなみに塊状で産しても、蛍石の場合は劈開を利用した劈開片が8面体になるので、それをお土産品として売っているから無駄がない。

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