クロム透輝石 (Diopside)
CaMgSi2O6
山梨県上佐野
上佐野は佐野川の上流にあるが、かなり深い谷沿いの道を延々30分以上も車で走らないとたどり着かない奥深いところにある。近年拡幅工事を行ってはいるがそれでも所々車がすれ違うのがやっとの道を行くのはちょっと気が引けてしまう。
ここの透輝石はクロムを含んでいて明るい緑色をしている物もあり、結晶も比較的大きく見栄えがするが、それ故に露頭は天然記念物とされていて採集はできない。
ところがその露頭のところに看板があって、上佐野の透輝石の説明があるはずなのであるが、過去2回探しに行っても見つからなかった。どうやら意図的に外してあるらしい。
一応天然記念物に指定されている露頭は2カ所。それ以外のところでの採集は可である。ただここも採集できるかどうかは時間の問題かと思われる。
これはそこよりも2キロほど下流にあるヘリポートらしき物(後日行ったらなんか単なる公園みたいなものになっていた)の近くの河原で拾った礫で、護岸工事の時に掘り返してならしてあった河原の砂利から見つけた物であるが、裏側にはそのときのコンクリートが少し付着していてちょっとがっかりしている。
ここの透輝石は玄武岩中の岩脈に斑晶として晶出していて、ふつうはスカルンに産する透輝石の産状としては珍しいものである。ここの岩脈は暗緑色のものと灰緑色のものの2種類あって、この標本は後者のもの。暗緑色のものの方は風化のせいか比較的柔らかい感じがする。標本の横幅は10cm。

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