普通輝石 (Augite)
(Ca,Mg,Fe)2Si2O6
神奈川県畑
この産地は足柄層を貫く安山岩脈中に輝石の結晶を含んでいるところで、築地書館の『鉱物採集の旅』シリーズで紹介された産地であるが、露出していた岩脈は既になく、歴史的産地となってしまった。
この標本は私が小学生の頃に、そこへ行って採集してきた友人にお裾分けをして貰ったものである。見てわかる通り双晶をしている。
ここの輝石は安山岩の岩脈中に存在している。周りは砂岩や礫岩で、化石を含む物もある。これは足柄層という1万mにもなるくらい堆積してできた堆積層で、箱根より北側から丹沢の神縄断層まで分布している。神縄断層より北側には丹沢層群がある。神縄断層は北米プレートとフィリピン海プレートの境界面であるとしている。大きなプレートの境界面が地表に存在するのは世界でここだけともいわれている。畑から南へ500mほど入ったところにはバラスを目的にした採石場があるが、ここはかつて火山の火口があった辺りと推定されている。ここの岩脈はそこから派生した物と思われる。
上の写真は母岩の中に入っているもの。
下の写真は同じ標本を角度を変えて撮影した。結晶のサイズは大豆よりひとまわり小さい。これは双晶をしている。
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