石英(紫水晶)(Amethyst)
SiO2
Tigray エチオピア
どういう状況で産出したのか単結晶だと解らないので、母岩は?とか、共生鉱物は?とか、ペグマタイトなの?とか、いろいろ疑問が湧いてくる。ひょっとしたら群晶中の一部だったのかもしれないし。
よく見ると白っぽい鉱物が付いていて、劈開からこれは長石だなと察しが付く。と言うことはおそらくペグマタイト中に産したものだろうと思われる。
角度が全然違うのでこれは日本式双晶ではない。
さて紫水晶であるが、光に当てておくと次第に退色し黄色から褐色へと変色していく。紫色の成因は微量に含まれている鉄イオンに起因する。SiO2である水晶はSi(珪素)が4価のプラスイオンなので、酸素はマイナス2価であるから酸素が2つあってちょうど電気的に釣り合っている(安定している)状態である。ところが鉄は3価のプラスイオンなので、水晶中ではマイナスイオンが一つ多くなってしまう(電子が一つ過剰にある)。このためマイナスの電荷の酸素原子が水晶の結晶構造から抜け出すことによって電気的に中性を保つことができる。ここまででは紫色にはならない。
これに周囲にある放射性物質からγ線を受けると電子が結晶構造の外に出されてそこに穴ができプラスになる。この電子はやや不安定なので本来吸収しない光を吸収するようになる(カラーセンター)。
紫水晶のカラーセンターは緑色の波長の光を吸収するので、赤紫色が透過して、赤紫色に見える。
この紫色を作り出す穴は、紫外線によってエネルギーを得て安定してくるので、吸収する波長が変わってくる。よって日光に当てていると色が褐色へと変わっていくことになる。
ちなみに熱を加えると黄色になり、これはシトリンと呼ばれる黄色い水晶になる。人工的に作り出すが、天然のものもあり、中には一つの水晶中にシトリンとアメシストが入っているものもありこれをアメトリンと呼んでいる。…安易な名前の付け方だなぁ。
パワーストーンの方の解説にも日光で浄化してはいけませんよとなっているはずだ。ところで、わたしは「日光で浄化」と聞くとなぜか東照宮を連想してしまう。

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