石膏(雪花石膏) (Alabaster)
CaSO4・2H2O
神奈川県渋沢鉱山
わたしが初めて鉱物採集に行った場所が渋沢鉱山である。小4の時に高校の地学の先生(友人の父)に案内していただき、初めて鉱山跡での採集を体験することになった。ちょうど春休みだったので蚊とか蝿とかの、採集中ちょっと煩わしい虫もいなく、短時間ではあったがかなり楽しく採集ができた。
ここでは石膏を中心に試掘が行われ、試掘跡が残っている。しかし戦前からの資料から見ると、金銀を目的に掘られた鉱山だという。もっとも当時の鉱区申請にはどこの鉱山であっても金銀として申請していたようで、従ってここも金銀がとれた記録はない。主な鉱物は黄鉄鉱、石膏、高温石英(β石英)の仮晶で、ごく稀に黄銅鉱が混じる。ここで採集した閃亜鉛鉱も紹介しているが、閃亜鉛鉱だけに判定にちょっと疑問も残る。
ここの石膏は当時はまだ坑道脇に小さい物がたくさん積まれていて、簡単に拾うことができたが、現在それは全く見ることができない。斜面から土砂が崩れてきて埋めてしまったか、既に持って行かれたかだろう。見た感じは土砂の方があり得るのだが。
しかし川脇の地面を掘れば粘土が出てくるので、それを目の細かい篩に入れ川で洗えば手頃な大きさの雪花石膏を見つけることができる。目の細かい物でないと、一緒に採れる黄鉄鉱(ここのは8面体の物が多い)と乳白色、黄色、オレンジ、赤、紫色をした高温石英(透明なんだけど表面が磨りガラス状になっている)が粘土と一緒に流れていってしまう。
ここでの採集は、先に手を洗う場所を作っておかないと、帰るときに困ったことになる。というのは、川には生活排水が混ざっているからである。幸い小さな湧き水があるので溜めておけるようにしておくと良い。
雪花の名の通り、細かい透明な石膏の繊維状結晶が複雑に絡み合い、ちょうど雪玉のように見える。

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